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2026年7月28日火曜日
針先の観察・2
2026年4月23日木曜日
静かさの按配
昨今は、否が応でも色々な情報が耳目に飛び込んで来るので、人体が普段どれほどのノイズに曝されているかという事について、私たちは耳学問でもって何となく分かっている。けれども、自分たちの感覚がそれら諸々のノイズとバランスする形で維持されているという点をあらためて考え直してみると、そうした何となくの認識が思いのほかぞんざいで時に的外れであることに気付く。ノイズについて、不要で有害な排除すべき情報としての存在とは別の側面が見えてくるからだ。
市内の「砂丘館」へ行った時の事を思い出した。
自分以外には来館者の一人もいない平日の館内から土蔵の展示室へ入った時、作品を観ているうちに耳鳴りがしてきて、それが収まったら今度はどこからか微かな連続音が聴こえてきた。それが自分の着けている腕時計の音だと気付くまでしばらくかかり、その間自分は音の出どころを探して誰もいない蔵の中をキョロキョロ見廻していた。厚い土壁で外部からの環境音が遮られた極端な静寂に戸惑いつつも順応した耳が、室内で唯一の音源である腕時計の音を拾っていたのだった。耳のまわりの空気が妙にモッタリとまとわりつくようなこの時の感覚は、某社のノイズキャンセリングヘッドホンの無音時に似ていた。
ここでオーディオに目を向けてみると、ノイズを遮断して、制震して、といったような音質や静特性向上のために何かを「する」方向とは別のやり方も見えてくるように思う。平たく言えば、飛び込むノイズは飛び込ませ、震えるものは震わせておくというような。もちろん安全上必要な部分はきちんと踏まえたうえで、かつ原理主義的に走らないようほどほど(ここがいちばん大切な点かも知れない)にバランスをとって、何も「しない」方向でのオーディオいじりというようなものもあっても良いのではないか、という事だ。
極端な静けさは騒々しさとは別にこれまた人がリラックスできない状態なのだから、オーディオの中にもうるさ過ぎず静か過ぎずの、五感が均衡状態(=リラックス)を保てるちょうど良いノイズの濃度というか、“静かさの按配”というものがあるのでは?という事で。
2026年4月6日月曜日
シュアー純正針の仕様の違い種々
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2026年2月24日火曜日
カートリッジとリード線・その2
2026年2月20日金曜日
カートリッジとリード線
馴染みのお客さまが針を持って来られた。
「どうも音がきつくて。リード線の交換で音良くならないかなあと」
出されたのを見ると、オーディオテクニカのVM型。
「これ、テクニカの現行の針ですよね」
「そう。安かったから買ってみたんだけど・・・あんまり良くないやつですか?」
「いえ。テクニカのエントリークラスは普段使いの音として練られていますから、むしろ安い製品の方が聴きやすい音に出来てるはずなんですけど、きつい音・・・?ちょっと聴いてみても良いですか?」
店のプレーヤーで聴いてみるとたしかに中高域に険があり、耳当たりがきつくて聴いていられない。
「たしかに、だいぶひどい音ですね。おかしいな、テクニカのエントリークラスがこんな音のはずは・・・」
2025年12月23日火曜日
針先の観察
2025年12月20日土曜日
安物シェルの実力
2025年12月1日月曜日
腰高な音を良い感じに
テクニクスのMMカートリッジを持ってお客さまがご来店。
「ブログ観たんですけど、これのリード線を換えて欲しいなと思って」
「ああ、この針。以前お話をうかがってどんな音か気になっていたんです」
「ちょっと聴いてみてもらえますか?」
さっそく試聴してみる。
「だいぶ腰高な鳴り方ですね。純正針じゃなくて互換針だから、針のキャラクターもあるんでしょうけど」
「リード線の交換でバランスの良い音になりますか?」
「試してみないと分かりませんけど、今のこの音よりは良い感じにできると思います。こういう音の針にはおすすめの線があるんです。まさに昨日のブログに書いたエナメル線で、どこの線か分からないんですけど、音の細い針にえらい効くんですよ。試してみますか?」
お客さんのゴーサインが出て、さっそく交換。
「さっそく聴いてみましょう。アンプのボリュームはさっきのままです」
交換前に試聴した曲を聴き返す。
「・・・ぜんぜん違いますね。リード線でここまで変わるんですね」
「中高域のキャラクターはあんまり変わらないですけど、低域側がぐっと出るようになって聴きやすくなりましたね。あとはご自宅の環境でうまく鳴るかどうかですね」
帰宅後、お客さまから良い音で鳴っていますとメールが。よかった。
今回もこのエナメル線が良い働きをしてくれた。仕入れの際にはシェルリードとして使うことは全く想定していなかった線材なのだけれど。
2025年11月29日土曜日
AT10Gを組む
2025年9月12日金曜日
35シリーズの針
2025年9月1日月曜日
再改変
良い部材が手に入ったので、売れ残りのモノラルアンプを下げてきてもう一段煮詰めてみた。
このアンプは当店でカスタマイズしたもの。カスタマイズとは言っても定数は一切変更しておらず、ボリュームポットや内部配線、ハンダといった音声信号の通り道の部材変更だけで音を作っている。
今回もやっぱり定数変更はせずに部材を再変更しただけだが、狙った通りの音になったのと同時に、少し前からうっすら思っていた事の裏が取れた結果となった。
2025年8月15日金曜日
SC35Cのチューニング その後
先般ブログに掲載したシュアーのSC35Cについて、その後何件かのお問い合せを戴いた。
2025年7月31日木曜日
SC35Cのチューニング
2025年7月23日水曜日
シュアー社の針と社外製互換針の仕様
2025年7月22日火曜日
社外製交換針のこと
気になる針を見つけたので仕入れた。
第1世代や第3世代と比べて影の薄い第2世代だが、その後のシュアーのカートリッジの基本構造が出揃った世代でもある。ボディは箱形の上っ張りに振動系格納部をおさめる構造となり、交換針はグリップと一体成形されるようになった。シュアーの針の特徴であるテンションワイヤはこの世代からダンパー後方に向かって張る構造へと変更されている。
2025年5月26日月曜日
シュルツKSP-130Kの修理
久しぶりにシュルツKSP-130Kの修理。
2025年2月9日日曜日
店外環境でのM44-7SV試聴
お客さま宅のシステムにて、突板カートリッジ・M44-7SVとノーマルのM44-7を比較試聴した。
プレーヤーはヤマハGT-750、アンプはパワーがTEACのAX-501でプリがQUAD 44、スピーカーはHARBETHのモニター20。
構成としては少し変則的だが、音質的に比較試聴しやすそうなものをお客さまの休眠機材の中から選んで即席でシステムを組み、試聴での音の基準とした。
ノーマルのM44-7と比べると、M44-7SVの方は音の立体感が増す。音場の中の音像やその位置関係が明確化し、実在感をともなって現れるようになる。また、音源中の暗騒音が低くなったように感じ、音の背景が澄む。
店で聴く以上に両者の音の違いが明確に出たので驚いたが、これは、今回試聴した環境が店よりもかなり広く天井高もあり、スピーカー後方に雪平鍋のような浅い凹凸のある壁板が張られたオーディオルームだったためだと思う。電源もクリーン電源だった。
M44-7SVは、音決めの段階では徹底的にリアリティを追求するというような事はせず、毎日聴く事を踏まえてごくわずかに角を丸めた音へとまとめたつもりだったが、今回の環境ではそれでもかなりリアルな音と感じたし、お客さまの感想も同様だった。
*加えて、音像の周囲にエコー成分の太い輪郭線を伴うような、明確“でない”音像を好む向き。
2025年2月7日金曜日
出張
ご愛顧いただいているお客さまから電話。
「ベルトドライブ機の音を聴いてみたくて試しに買ってみたのが届いたんですが、使えるようにセットアップしてもらえませんか?」
「何を買われたんですか?」
「リンのアクシスとトーレンスのTD150MkⅡです」
日程をうかがい、宿をとって出張。
お客さまのお宅へ伺うと、オーディオルームにイギリスから届いたという粗悪な段ボール箱が2つ並んで置かれていた。さっそく開けに掛かる。
「ああ、裂けてしまった。海外の段ボールって、大体みんなこんなですよね。ヤワだし臭うし虫は湧くし、少しは日本の段ボールを見習って欲しいですね。でもこの人、梱包は丁寧ですよ」
「それは一度開けたのを私が包み直したんです」
そんな話をしながら箱を開けて緩衝材を取り除け、養生を外して床に置く。
どちらもグッと引き締まったシンプルなデザイン。無駄のない美しさに思わず見入ってしまう。
手入れに取り掛かる。
アクシスはプラッター軸の油を足してカートリッジを取り付け、オーバーハングを合わせたら準備完了。ベルトの経年劣化以外には特に不具合は見当たらなかった。もっとも、そのベルトが要なのだけれど。これについては他のベルトドライブ機にも言える事だが、本当に信用できる互換品を探し当てて換えるほかない。
次いでTD150。リンの代名詞であるLP12のモデルになったと言われる製品。重厚で精密なプラッターに軽快なアームの対比が美しいデザインをいっそう魅力的に見せる。
プラッターやウエイトを外してカバーを被せたら、キャビネットごとひっくり返して電源トランスの結線を変更し、コンセントプラグを交換。内部の造りも素晴らしい。力の入れどころと手の抜き方の取捨選択が見事にバランスした品質からは、成熟したもの作りといった印象を受ける。
ヘッドシェルに付いていたカートリッジを交換して針圧を調整しようとしたら、ウエイトの動きが渋い。アームにフリクションを掛ける樹脂パーツが経年で変形しているらしい。近在のホームセンターから紙やすりを買ってきて削る。
ウエイトが滑らかに動いて固定ネジを締めたらピタリと留まるように按配して、さてあらためてと思ったら、今度はアームの動きがおかしい。ローリング方向のガタがある。調べてみると、水平軸の片側が折れて無くなっていた。
初日の修理はここで終了。稼働中の他のプレーヤーの調整や修理をして、あとはまた明日となった。
芯鉄は単体部品ではなく、折損しているのは圧入されていた先端だから、その部分を新たに作れば直せるはずだと踏んで、縫い針セットとダイヤやすり、それに包丁研ぎを買ってきた。
いちばん太い毛糸用の針の先端を工具で折り取ったら、あとはひたすら削って磨いてを繰り返して芯鉄を作る。太さ1ミリ・長さ2ミリほどなので、作業中に工具が滑って何度か床に落として探し回ったが、無事に出来あがって組み付けも問題なく、ガタも取れてアームは滑らかに動くようになった。
この時代の製品の懐の深さは、一般的な手まわり工具とユーザーレベルの工作技術でかなりの部分が修理・調整できるというところにあると思う。多くの人に分かりやすい仕立てで造りつつ、高い性能と長い寿命を製品に持たせているというのは、現代のハイエンド機とは全く異なるベクトルの凄さだ。
最終日は組み上がりを機材につないで音出し。試聴しながらカートリッジの選定と各部の手直し。
じっと聴いていたお客さま。ウンとひとつうなづくと「・・・よし!OKです」
片方は思わぬ不具合を抱えていたものの、2台のベルトドライブ機は揃って新しい主のもとで現役復帰した。



















































