先般ブログに掲載したシュアーのSC35Cについて、その後何件かのお問い合せを戴いた。
いずれも販売をとのご用命だったが、最初の1件のみ受け付けて、あとは一旦お断りしていた。
理由は交換針の在庫切れ。
以前から折りに触れ度々書いてきたが、MM型やMI系といったカートリッジは音に関わる大半を交換針の良否が握っている。さらに切り分けて言えば、それは針先・カンチレバー・ダンパーの良し悪しという事になる。
以上はあくまでも当店の見方に過ぎないが、この観点からすると、どうしても中古針は新品の交換針よりも劣るという事になる。これまでカートリッジのチューニングなどであれこれと針をいじってきた中で得た実感として、結局のところ音の取水口である針そのものが良くなければ元も子もないのだ、というものがある。
飛び抜けて当たりの針というのは確かにあるし、少々使って馴染んだ針の音のよさというものもある。ただ、それらは常にそうあるという性格のものではない。当たりの針だっていずれ磨耗する訳だし、馴染んだ音の“良い按配”も使っているうちに通過する地点だ。
いま良い音が出ていても、それが普通の針のアタリがついた頃のものなのか、当たりの針のダメになりかけた時分の音なのか。中古針はその現在地が判りづらい。
お客さんが安心して使えるものが、売り手がハラハラしながら売る物にあるはずがないので、不本意ながら2件目以降はお断りした。その当座は在庫の新品交換針が1本しか無かったからだ。
ところが、盆休み前になって思いがけず交換針が手に入った。
2011年以降のロットの針がまとまって出てきた。
個人的に、M44Gでは箱の横腹にごちゃごちゃ書かれたこのステッカーの貼られた頃の針には音の良いものが多いという印象を持っている。なにぶん個体差のあるシュアーの針なので、“ハズレが少ない”と言う方が正しいのかも知れないけれど。SC35Cではどうだろうか?
終売から7年あまり経ってプレミア化が進む中で、最近はシュアーの新品交換針の入荷は運頼みとなっていたから、今回のあまりにもタイムリーな入荷は嬉しい一方で、ちゃんと商品が届くか最後まで疑念を持っていたほどだった。
ともかく、これで安心してSC35Cを送り出せる。

