2025年2月9日日曜日

店外環境でのM44-7SV試聴

 お客さま宅のシステムにて、突板カートリッジ・M44-7SVとノーマルのM44-7を比較試聴した。

プレーヤーはヤマハGT-750、アンプはパワーがTEACのAX-501でプリがQUAD 44、スピーカーはHARBETHのモニター20。

構成としては少し変則的だが、音質的に比較試聴しやすそうなものをお客さまの休眠機材の中から選んで即席でシステムを組み、試聴での音の基準とした。

ノーマルのM44-7と比べると、M44-7SVの方は音の立体感が増す。音場の中の音像やその位置関係が明確化し、実在感をともなって現れるようになる。また、音源中の暗騒音が低くなったように感じ、音の背景が澄む。

店で聴く以上に両者の音の違いが明確に出たので驚いたが、これは、今回試聴した環境が店よりもかなり広く天井高もあり、スピーカー後方に雪平鍋のような浅い凹凸のある壁板が張られたオーディオルームだったためだと思う。電源もクリーン電源だった。

M44-7SVは、音決めの段階では徹底的にリアリティを追求するというような事はせず、毎日聴く事を踏まえてごくわずかに角を丸めた音へとまとめたつもりだったが、今回の環境ではそれでもかなりリアルな音と感じたし、お客さまの感想も同様だった。

音の良し悪しは万別で聴き手の嗜好によって決まるものなので、この音を好まない方や相性の悪いシステムというのも当然ながらあると思う。聴き手の側へ実寸よりも大きな音像が迫り出すような出音や、「ウォール・オブ・サウンド」と呼ばれるようなひとかたまりになった音を好む向き*。また、特定の帯域が強調されたり限定された楽曲やジャンルに向けて構築されたような性格のシステムとは、このカートリッジは合わないかも知れない。ただそれも実際に組み合わせて鳴らしてみなければ分からないところだけれど。

*加えて、音像の周囲にエコー成分の太い輪郭線を伴うような、明確“でない”音像を好む向き。