先日、普及クラスのフォノ・イコライザーを比較試聴した。店で常用しているオーディオテクニカのローエンド機、AT-PEQ3を聴かれたお客さんが「こんなのどうかな」とお持ちになったので、じゃあ聴き比べてみましょうという次第。
お客さんのお持ちになったのは、ヤマハのHA-5と、ベリンガーのPP400。
「どっちも中古で買ったんだけど、ベリンガーは電源アダプターが欠品してて、純正品を探して買ったらアダプターや本体より送料が高かったよ(笑)。中もスカスカで、部品なんて数えるくらいしか付いてなかったし」
「音はどうでした?」
「どっちも良かったよ。でも、私の耳ではねえ・・・ベリンガーの方が・・・(笑)」
「へえ、そう聞くと俄然興味が湧いて来ますね」
さっそく試聴。まずはベリンガーPP400。
「元気な音。ちょっと角張っているところもありますけど、楽しい音ですね」
「古い音源とよく合うんだよね」
次いでヤマハHA-5。
「今度は上品な音。往年の“ナチュラルサウンド”の製品なのでクリアでクールな音を予想していましたけど、意外にも角のとれた柔らかな音。いかにもオーディオのイイ音という感じですね」
「聴いてると、これはこれで良いのかなと思えてくるけどね」
「ヴィンテージ・ジョインの喜代門さんがHA-5のチューニングをされていましたけど、納得できますね。ここまで良いだけに、もうひと息のお仕着せ的な部分を良くしたくなるというか。じゃあ、うちのオーディオテクニカも改めて・・・」
即席の試聴会が終わってから、ベリンガーの音が気になり始めた。低域が削げて粗さのある音。いつもなら即座に跨いで通り過ぎるたぐいの音のはずなのに、妙に引っ掛かる。
「あの粗っぽい音で、古いモノラル盤がやけに活き活き鳴っていたな・・・あのバランスのまま、音の質感だけ良く出来たらどうなんだろう?」
さっそく試してみることにした。