ラベル ステレオスピーカー の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル ステレオスピーカー の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025年2月22日土曜日

Vintage Join 5インチスピーカー・ペア

ヴィンテージ・ジョインの近作が入荷しました。


同店のスピーカーとしては珍しく今日のドライバーを採用したモデルです。

口径5インチ(≒13センチ)。センターキャップではなくフェイズプラグを採用したドライバーは現代的な佇まいながら、磁気ギャップが前方へ抜けている構造のためかラバーエッジを採用したドライバーにありがちな癖も無く素直な出音。実在感のある明澄さをそなえていながらも、量感のある聴き疲れしない音が特長です。

昔日のユニットを採用した製品群と地続きの音はヴィンテージ・ジョインの文法に則った在り様で、古今を問わず素性の良いドライバーをその実力に沿って無理なく鳴らす事がスピーカーにとっての肝要であると気付かされます。

サイズ:W190・H230・D160mm (端子部を除く)


・Vintage Join 5インチスピーカー・ペア・・・・・55,000円(税込み)

2024年8月24日土曜日

Victor SP-FS1(当店カスタム品)

90年代のビクター製ミニコンポ、FS-1のスピーカーです。

ヨーロピアンチェリーの無垢材を使用した贅沢なエンクロージャーが特長のスピーカーです。置き場所を選ばない小ぶりでシンプルなデザインも魅力的ですが、肝心の音については、私感ではあまり良い音ではないと思っています。

理由は、再生帯域を欲張ったような音づくりにあります。低域に不自然な弾力感があり、高域には険を感じます。コンポなので本体のプレーヤー・アンプ部とトータルでバランスする音づくりが為されているからでしょうが、単体のスピーカーとしては全帯域を通したまとまりを欠く聴き疲れする音です。

素材やデザインが素晴らしいだけにこの音はあまりにも惜しい。そこで、当店なりに本品をチューニングしてみました。


チューニングの内容は、要所を整えて音全体をまとめていくというもの。あくまでもSP-FS1を最良のバランスで鳴らす事を狙った処置であり、スピーカーユニットの載せ替えやエンクロージャーの加工といった改造は施していません。

このチューニングは複数のお客さまからご試聴いただき、感想を聞きつつ細部を煮詰め現在の仕様に到ったもので、外観はそのままでありながらノーマル状態とは大きく異なる音に仕上がっています。そのため、殊にノーマルの音を聴かれている方からは驚かれますが、それは、高低両端へ欲張った再生帯域を無理なく鳴る範囲へとあえて狭めた事で、逆に聴感上の音場や音像のリアリティが増したためだと思います。

店頭にてご試聴いただけますので、ぜひお試しください。

サイズ:W120・H158・D180mm

本品は中古品のため、外観には使用に伴う傷があります。


・Victor SP-FS1(当店カスタム品) ステレオペア・・・・・22,000円(税込み)


2024年1月20日土曜日

Schulz KSP-130K ステレオペア



旧東ドイツ・シュルツの13cmドライバー、KSP-130Kを同時代の東独製エンクロージャーに組み込み、ステレオスピーカーに仕立てました。

KSP-130Kは状態の良いフロントマウント仕様のペアを、エンクロージャーは製品に仕立てる前の状態で出てきたデッドストックのRFT製密閉箱を、それぞれ使用しています。

製作記事

KSP-130Kはこの口径では図抜けた音を聴かせるドライバーユニットですが、一方できわめてシビアな面も持っており、スピーカーシステムへ仕立てる際にエンクロージャーの奥行き寸や吸音材の質・使用量、ユニットのマウント方法などがセオリーから外れると、同じユニットとは思えないほどバランスの崩れた音になってしまいます。こうした性向を踏まえて、本品はシュルツ本来の音を楽しめるよう吟味した部材を定法に則って組み上げました。

広く深く明澄な音場と実在感に富む音像。シュルツの本領をお楽しみいただけます。


サイズ: W160、H307、D216mm ケーブル直出し3.4m


・シュルツKSP-130Kステレオペア・・・・・150,000円(税込み)

2023年12月27日水曜日

JBL L88M ステレオペア

 JBLのL88Mです。


本品は、同社60年代のスピーカー L88Novaのデザインをブックシェルフサイズへと落とし込んだモデルです。

2000年頃、往年の名機と言われるモデルを小型化した復刻調のスピーカーが国内外のメーカーから発売されましたが、そうした製品の多くがいかにもミニチュア的な雰囲気であった一方、このL88Mは小型スピーカーとして堂に入った佇まいと質感をそなえています。

同時期に発売され後年までモデルチェンジを重ねた同社の4312Mに対して早々に終売となったL88Mでしたが、いかにも量産には向かなさそうなフロント部分の木工を見ると無理もないと思います。前枠部の繊細な形状から前面の破損しているものが多く、美観を保った個体の極端に少いL88Mですが、本品は良好なコンディションを保っています。

音は昔日のフルレンジドライバーの音を旨とする当店にとっては今日的で広帯域ではありますが、余分な足し算をしていない充分に練られた音で、低域にバスレフ特有の膨らんだクセを感じない点も好感が持てます。

普段は近年のスピーカーと縁遠い当店ですが、L88Mについては例外です。このデザイン、よくぞ作ってくれたと思います。

オリジナルデザインを活かすために、現状では下部のJBLエンブレムは外してあります。発売時に添付または貼り直しをご指定ください。

サイズ:W181、H306、D182mm

・JBL L88M ステレオペア・・・・・52,000円(税込み)

私感ですが、こと日本の一般的な住環境にとっては、このデザインはオリジナルのL88Nova以上にブックシェルフ型のL88Mとの親和性が高いと感じます。

2023年6月9日金曜日

AUDIO RESEARCH ROR 小型スピーカー(ペア)

 米・オーディオリサーチのキューブ型スピーカー、RORです。


天地両側・背面にノースキャロライナ産のオーク*無垢材を使用し、ネジや釘を使わず組み継ぎで仕立てた非常に贅沢なエンクロージャーを採用しています。

*当時の日本語説明文では材は「樫」となっていますが、原文は“oak”(楢)と表記されています。また、このモデルには本品と同デザイン・同型番で合板製エンクロージャーのものも存在しますが、本品は無垢材のタイプです。


搭載されている公称12cmのフルレンジユニットには補正用のイコライジングフィルターが組み合わされ、再生帯域は接続の切り替えによって

FLAT(イコライザーON):85〜16,000Hz  89.5dB/W/m
LOUD(イコライザーOFF):95〜13,000Hz 91dB/W/m

という仕様になっています。


素直な出音と明澄な響き。小柄で上記のように再生帯域も決して広いとは言えないにも関わらず、自然な遠近感で展開するリアリティのある音場表現が魅力です。

整備済み*。

*エンクロージャー内の吸音材を元のグラスウールから古いフェルト状吸音材に、ファストン端子による圧着接続をはんだ接続にそれぞれ変更したところ、空間再現性が大幅に向上しました。オリジナルコンディションを重視する当店としては異例ではありますが、音質を重視してこの状態での販売となります。


サイズ:W165・H166・D140/mm



・オーディオリサーチ ROR小型スピーカー(ペア)・・・・・50,000円(税込み)


2023年4月13日木曜日

RFTスピーカー・ステレオペア 管:HJ

東ドイツ、RFTのブックシェルフ型ステレオスピーカーです。

10リットルほどの密閉型エンクロージャーに13cmユニットが組み合わされたブックシェルフ型。
密閉型スピーカーのセオリー通りのオーソドックスなスタイルで、目新しさや付加価値感の重視される今日の製品にはほとんど見られない、足し算をしていない“普通のスピーカー”です。

このモデルは、70年代の前半頃からベルリンの壁崩壊直後の東ドイツ最末期まで製造されました。製造期間の長さや生産環境から、エンクロージャーの造りや外観の仕上げ、搭載されているユニットの違いなど様々なバリエーションが存在します。定番の製品だったはずですが、今もって私はこのスピーカーのモデル名や型番を知りません。

素直な音と奥行きのある音場表現。パッと耳目を集めるような鮮烈さはありませんが、シンプルなデザインとともにながく親しめる普遍的な良さが魅力のスピーカーです。

サイズ:W163・H310・D210mm、ケーブル直出し2.6m。


RFTスピーカー・ステレオペア 管:HJ・・・・・46,000円(税込み)

2023年3月16日木曜日

LOEWE OPTAスピーカー ステレオペア

 西ドイツ、レーヴェ・オプタのステレオスピーカーです。

縦に据えていますが本来は横置きの製品です

11×18cm楕円ユニット1基のシステムながら広がりのある鳴り方。落ち着いた音は室内空間に音楽を溶け込ませるような聴き方に好適ですが、音量を上げて音像と対峙するような鳴らし方にもバランスを逸することなく対応します。

整備時
スピーカーユニットはゴムブッシュを介したナット留め。こうした造りのスピーカーはユニットの組み付け状態が音に大きく影響します。ペイントロックされていない製品には重年の使用にともなう振動でナットが緩んで本来の音とかけ離れた鳴り方になってしまっている物も多いため、整備は欠かせません。
また、本品のようにケーブルとユニットがコネクターで接続されている製品は、接点部の清掃に加えて接触圧を調整するひと手間も掛けたいところです。

整備済み。経年相応の傷等のあるコンディションです。

サイズ: W174・H317・D162mm、ケーブル直出し2.3m


・レーヴェ・オプタ ステレオペア・・・・・45,000円(税込み)

2023年1月21日土曜日

REMA ステレオスピーカー

 東独REMAのステレオスピーカーです。


前面をユニットを架装するだけの最小限の面積にとどめ、奥行きを深くとったエンクロージャーを採用したことで、音に箱の響きが乗らずスピーカーの後方へ深い音場と実在感のある音像を展開します。朴訥とした見た目に反してかなりグレードの高い音を聴かせます。

ユニットはRFT L2322。L23シリーズの耐入力10Wのタイプです。

整備済み。

サイズ:W158・H146・D290(mm) 、ケーブル直出し3m

・REMA  ステレオスピーカー・ペア・・・・・45,000円(税込み)

2022年10月15日土曜日

RFTスピーカー・ステレオペア 管:RM

 東独RFT製のステレオペアです。


13cmフルレンジユニットを搭載した小振りなスピーカーです。
本品は未開封のデッドストック品ながら保管環境に恵まれなかったようで入荷時は外観の傷みの著しい状態でした。そのため分解し、エンクロージャーの下地ならしから外装張りまで全てやり直したうえで組み直しました。

RFTのユニットは端子のカシメが弱くコードが引っ張られるなどして脱落・破損しやすいため、端子を補強したうえでケーブルをフロントバッフル経由で留めてあります。


再生帯域の狭い明らかに高忠実再生ではない音にもかかわらず、聴いているうちに不思議なリアリティを感じる音。独特のスケール表現で室内空間に溶け込ませるような音場を作ってくれるスピーカーです。

搭載されているL 2276は古典的な造りのユニットですので、小出力の真空管アンプとは特に好相性です。


サイズ:W205・H200・D70mm、ケーブル直出し2.8m



RFTスピーカー・ステレオペア 管:RM・・・・・30,000円(税込み)

2022年6月5日日曜日

HECOスピーカー ステレオペア

 西独HECOの小振りなスピーカーが入荷しています。


サイズ相応の量感を伴う素直な音は、室内に自然な音場空間を作ってくれます。上質ながら過剰に凝り過ぎない洗練されたデザインも秀逸です


工芸品かアートピースのような壮麗なハイエンド機器で聴く圧倒的な音楽のある一方で、日常に馴染んで身近にごく自然にある機器や音楽というものもオーディオ製品のひとつのあり方だと思います。


・HECO ステレオスピーカー・・・・・50,000円(税込み)

2022年5月26日木曜日

SCHNEIDER E13 ステレオペア

 フランスの珍しいスピーカーです。

 
シュネデール E13

いかにもフランスらしいデザインのブックシェルフ型です。

奥行きのある密閉型エンクロージャーにはクッションのような吸音材が隙間なく詰められており、再生音から箱の気配を排除しようという設計意図のうかがえる造りになっています。

エンクロージャーを響かせずに音源自体の響きを色付けなく抽出するようなモニタースピーカーのような出音は、この時代のフランスのスピーカーとしては異色のキャラクターです。



接続は2DINコネクターにより接続する仕様で、当時のコネクター付き純正ケーブル(HAEVENGT  FRANCE製平行ケーブル3.6m 、接続極性はメーカー名表記のある側が+)が付属します。

コネクター接点は真鍮地に銀めっき。現行品には無い良い部品です。やや表面の硫化が見られますが、過度な研磨は施さず清掃にとどめています。


サイズ:W160・H250・D243mm

・SCHNEIDER  E13 ステレオペア・・・・・70,000円(税込み)

2021年12月6日月曜日

シュルツKSP-130Kのリメイク

 シュルツのKSP-130Kを使ってステレオスピーカーを組んでいます。

KSP-130Kは先回修理したものとほぼ同時期の後期型。非常にコンディションの良いペアです。


エンクロージャーには同じ東独製の13cmユニット用密閉箱を使用します。この箱は、製品に仕立てる前の状態で出てきたRFT製の未使用品です。


箱に付いていたユニット固定金具は小札状の真鍮板。これでもメーカー純正の仕様です。
こんなもので良いのかと思ってしまいますが、一見貧弱な真鍮板は2mmの厚さがあり、留めネジも前板を貫通する深さまで入っています。この辺りの荒々しい質実剛健ぶりはいかにも東側の製品らしいところです。

鳴り方を確認しながら吸音材を加減したら、組み上げて試聴。
鳴らし初めはエンクロージャーとユニットが互いに馴染んでいない散漫な鳴り方でしたが、しばらく鳴らして振動でユニットが落ち着く位置に収まった頃合いで調整して以降は腰の据わった音で広々と鳴るシュルツらしい音になりました。鳴らし込めば更に良くなっていくでしょう。

往時のエンクロージャーを未使用状態からエイジングするという機会はそうは無いので、今回のリメイクは貴重な経験になります。