ドイツ製スピーカーをお使いのお客さまから、ステレオアンプのご用命。
スピーカーは、当店にも在庫のある西独製のブックシェルフ型で聴かれており、アンプについてもすでに良いものをお使いだったのですが、入力が1系統のみという点と、ボリュームを開けた際にやや音がきつくなるという所から代替わりを検討されているとのこと。
「もっと厚みのある音で聴ければと思います」
「幸い同じスピーカーがうちにもありますから、在庫のアンプで相性の良いものを見繕って、良いものがあれば後ほどご案内しますね」
そんなやりとりをして電話を切ったものの、
「あのアンプできつい音が出るってのは一体・・・?」
お使いのアンプは小型の小出力アンプですが、音のよい製品です。ここの製品は何よりきつい音を嫌った音づくりを旨としているはずですが、なぜ?
しばらく考えて、思い当たりました。
このスピーカーはトランジスタアンプが一般的になって以降の製品です。採用されているドライバーも、小さな入力で大きな音を出すことを旨とした古典的な構造から、昔時の特質を残しつつも振動系の質量が増して耐入力値が上がり、低能率化の進んだ構造へと変わっています。こうした時期のドライバーにとって〜1Wクラスのアンプは、いくら上質な音づくりの製品であってもさすがに駆動力が足りないのでは?
ここまでが頭の中でのシミュレーションで、あとは実地に色々な組み合わせで鳴らしてみてどうか。結局のところこれに尽きます。