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2025年1月24日金曜日

Jensen 10J11 10インチ フルレンジ

 1950年代のジェンセンです。

10J11  10インチフルレンジ

1957年に製造された個体で、スムースコーンと呼ばれるタイプです。振動板の面積や紙の張りといった部材の特性に任せた素直な出音に、昔日のジェンセンらしさが感じられます。
フレームバスケットには重年の傷が見受けられますが、変形はありません。
コーン紙には汚れは見受けられるもののクラックやピンホールといったダメージは無く、年代に照らして良好なコンディションを保っています。

近年では無傷のスムースコーンは少くなりましたので、お探しの方、ヴィンテージユニットの扱いに慣れた自作派の方へおすすめします。


本品はモノラルでの使用も考慮し、1本ずつの販売といたします。また、商品の性格上、初回お取引きの方につきましては現状販売にて承ります。

・ジェンセン 10J11 10インチ フルレンジ・・・・・各15,000円(税込み)/1本


エンクロージャーやキャビネットへの取り付けは、太いネジを使用してフロントバッフルの板厚の許す限り深めに留めるか、M5程度のボルトを用いた貫通ボルト留めをおすすめします。10J11はPM10やP10と比較して小ぶりの磁石を採用していますが、それでも高感度で音の通る性格ですので、箱へのマウントが柔だと抑えが利かず散漫な音になります。
一方で、要所が適切に緊締されている場合には、薄手のエンクロージャーとの組み合わせでもおさまり良く鳴ります。


2024年8月26日月曜日

GOODMANS MAXIM

英・グッドマンのマキシムです。

1964年発売。ブックシェルフ型小型スピーカーの元祖と言われるモデルです。


小口径の低域ユニットを巨大な磁石で駆動する設計は極端なキャラクターの音を想像させますが、実際に聴かれるのはバランスのとれた秀逸な音です。(この画像は前回入荷時のもの)

本品は、高低両ユニット、エンクロージャー、クロスオーバーネットワークとおおよそ総ての箇所に不具合を抱えた状態で入荷しましたが、いずれも修理・整備しましたのでマキシム本来の生き生きとした音をお楽しみいただけます。

修理①

修理②

外観には重年の傷が数多く見受けられますが、オリジナルの質感を重視し、研磨や再塗装などは施さずに仕上げました。ときどき外観の天地両側と背面を水拭きしてやると木地が良い状態に保たれます(材の乾燥したエンクロージャーは良い音で鳴ると言われますが、過度な乾燥は木地の寿命を縮めます。無垢材に限らず合板にも適度な水分の疎通は必要です)。


使用例

類似の製品が他に思い当たらないほど独特でありながら、一日中聴いても何年も飽きないだろうと思える普遍性。聴いていてテンションがあがるほどパワフルな一方で、聴きながらウトウトしてしまうほどの余裕。小さな中に相反する要素を破綻なく併せ持ち強烈な魅力としている、唯一無二と言える音のスピーカーです。

モノラル一本。


・GOODMANS  MAXIM・・・・・売約済み

発売当初のマキシムの広告には、ステレオ時代への移行期を反映した“Buy one for yourself (or two-the Maxim is ideal for stereo)”の文言が見られます。
1台でモノラル再生した際に音が細らないのは、マキシムがあくまでも1台で聴くことを踏まえて作られているためです。

2024年8月15日木曜日

ELMO モノラルスピーカー(当店カスタム品)

 古くから映像関連用品の製造販売を手掛けるエルモの映写機用スピーカーです。


本品は元々は縦置きでしたが、佇まいが魅力的でなかったため横置きの意匠へ改変しました。

また、スピーカーユニットやエンクロージャー内にも手を加え、音質についてもチューニングを施しています。


欧州のラジオスピーカーの音と佇まいをイメージしました

傷避けのフィルムが貼られたままの未使用品と思われる状態で入荷したためコンディションは良く、ユニットもまっさらな状態なのでエイジングはこれからです。コーン紙やエッジが馴染めばより良い音へと変化していくでしょう。

生活空間の一隅に置いて気軽にモノラルサウンドを楽しめる普段使いの小型スピーカーです。

サイズ:W300・H240・D120mm、ケーブル直出し4.6m(極性:ライン側+)


・ELMO モノラルスピーカー・・・・・4,000円(税込み)

2024年8月9日金曜日

続・GOODMANS MAXIMの修理

 先回のツイーター修理後、無事に鳴るようになったマキシムでしたが、しばらく鳴らしているうちにピアノのアタックなどの強い高音に付帯音が出始めました。音の出どころは低域ユニット。どうやらボイスコイル擦れのようです。

ツイーターの次はウーハー。先回はネットワークとエンクロージャーも要修理だったので、結局のところ全ての箇所が不具合を抱えていた事になります。


ふたたび分解。


エッジの周囲ごとバッフルに張り付いている低域ユニットの取り外しは非常に厄介。巨大な磁石を保持した状態で、取り付け面に溶剤を染み込ませながら少しずつ剥がして行きます。ただし、エッジのダンプ剤には溶剤を付けないように。集中力と腕の持久力が要ります。

ユニットが外れたら、フレームからコーンアッセンブリーを外します。ここもエッジやダンパーを傷めないように溶剤で根気強く剥がして行きます。

マキシムのエッジはラバーエッジではなく、ゴム系のダンプ剤を分厚く塗った布エッジ


フレームバスケット部
あちこちに重年の腐蝕が

腐蝕を落として、バスケット内とギャップ部を清掃


大振幅型なので、ボイスコイルもボビンも口径に対して非常に長い

フレームの整備が済んだら、コーンアッセンブリーのメンテナンス。引出し線の付け根やコイルを点検してニスを掛け直します。コイルの浮きや剥離による異音を防ぐためで、同様にダンパーやセンターキャップの接着部も見て行きます。

フレームとコーンアッセンブリーがそれぞれ仕上がったら、組み付けて芯出し。
今回はセンターキャップを外せなかったため、通常の調整方法は使えず、また、エッジやダンパーの性格もあって、芯出し作業は非常に難儀でした。

芯出しに丸々一日を費やしてようやく組み上がり

先回の修理と合わせてかなりの手間と時間を掛ける結果となりましたが、この古い小型スピーカーの音には、それだけの値打ちは十二分にあると思います。


2024年7月27日土曜日

GOODMANS MAXIMの修理

 久々にグッドマンのマキシムが。今回もモノラル1本での入荷です。

英グッドマンのマキシムは、ブックシェルフ型スピーカーの始祖と言われるモデルです。8cmに満たない小口径の低域ユニットを巨大な磁石で駆動させる力技の機構は一見するとバランスを逸した極端な性格の音を想像させますが、実際の音は闊達で量感に富む素晴らしいものです。一方で、年代の古さと造りの面からコンディションに難のある個体が非常に多く、高額な流通価格と相まって仕入れには難儀するスピーカーでもあります。

今回の個体も動作確認してみたところ、高域側のユニットがまったく鳴っていませんでした。

開けてみると、ネットワーク部のコンデンサが駄目になっていました。

ひび割れた高域用のコンデンサ(2μF×2)。画像を撮った後で固定テープを剥ぐと、砕けてバラバラになってしまいました。

交換するパーツは、同じものが無ければ同国製のもので性格や年代の近いものに、それも無ければ国産の汎用品へ替えます。パーツの用い方は修理者によって様々なやり方やポリシーがあると思いますが、当店の場合は高級なオーディオ専用コンデンサなどは避け、なるべく平凡なものを使うようにしています。高音質を謳う高級パーツにはそれ自体が強い個性を持っている事も少くないためです。

ネットワーク部のコンデンサについては同じオイルコンデンサが入手できなかったため、国産の電解コンデンサへ換装しました。オーディオ専用のフィルムコンデンサよりも、一般的な電解コンデンサで銅足の良質なものの方が好適と判断したためです。

コンデンサ交換後、仮組みで鳴らしてみますが、相変わらず高域ドライバーは鳴りません。SP端子でチェックした際は高域ユニットからチリチリ音が聴こえたのにと思ってユニット単体で再度チェックしてみると、導通無し。どうやら低域ユニットからのノイズを高域側の音と勘違いしていたようです。

コイルの断線となるとどうしようも無いなと諦めかけたものの、「端子付近での断線なら、つなぎ直せばあるいは・・・」と思い直し、高域ユニットの修理を試みることに。


内部の端子部を見ると、

引出し線はどちらもしっかりと端子に付いていました。つまり、コイルはボイスコイルボビン側のどこかで切れている事になります。

ポールピースが錆びてボビンと擦れている状態なので、腐蝕による断線かも知れません。いずれにしても望みは絶たれたと諦めて、後学のために分解して内部の造りを観てみることにしました。
フレームは黒いプラスチック製で磁石や端子と一体成形されています。
振動系は、一般的なフルレンジドライバと同じギャザーダンパーでストロークする構造。振動板とダンパーの間には吸音材が詰めてあり、エッジは伸縮性の無いビニール製。

ダンパーを剥がしてコイルを見てみると、思いのほか綺麗な状態。しばらく見ていると、断線箇所が見つかりました。同時に「直せるかも」と再び希望が。

ボビンからボイスコイルを1周分だけほぐして引き直し線を抜き、その孔にほぐしたコイルを通して新たな引出し線に。コイル全体にニスを掛けてほぐれないように固めたら、ポールピースの錆びを取って、ギャップ溝を綺麗にさらい、芯出ししつつ組み直し。

仮組みで鳴らしてみると、無事に出音しました。


一時は部品取りにするしかないかと思いましたが、どうにか復活。ただ、まだ低域ユニットや箱の修理が残っているので、気は抜けませんが。

2024年6月24日月曜日

モノラルスピーカー“リ・リメイク“

本品は、オーディオショップ・Vintage Joinのリメイクスピーカーのエンクロージャーを使用し、同店主の喜代門さんのアドバイスを基に当店オリジナルの製品へと仕立てなおした、言わばリ・リメイクスピーカーです。

採用したドライバーは、戦前のドイツ製21cmユニット。ベークライトの蝶ダンパーにストレートコーン、シリンダーマグネットという仕様で、メーカーは不明ながら音・造り・コンディションの揃った優品です(特徴的なコルゲートコーンからGraetz製のように思われますが確証は得られていません)。

スピーカーのリメイクでは、サイズの合ったエンクロージャーにドライバーをおさめて完成ということは無く、試聴しながらドライバーとエンクロージャーの持ち味が活きる条件を探す調整作業が必須となります。本品も先達から教わった技術に自分で見つけた幾ばくかを足し合わせて仕立てました。



オーディオ趣味的な演出や音像周囲の輪郭線のような付帯音を廃した音。奥行き感に富み明瞭でありながら聴き疲れせずに長く聴き続けられる音へと仕上げました。
古典ユニットの本然をお楽しみいただけます。

サイズ: W316・H527・D216mm(接続端子を除く)


・モノラルスピーカー “リ・リメイク”・・・・・66,000円(税込み)

2024年5月23日木曜日

WHD卓上スピーカー

 西ドイツ、WHDの卓上スピーカーです。



エンクロージャーは継ぎ手で組まれた無垢材を突き板で仕上げた凝った仕立て。ドライバーは13cmユニットが採用されています。

部屋の一隅から聴き手に話し掛けるように鳴り、室内の空気に溶け込ませるように小さな縮尺で空間の広さを聴かせる。昔日の小型スピーカーには今日の高忠実再生とは趣きの異なる表現の世界があります。

巻線タイプの音量調整用ボリュームはジャンプせずオリジナルのままの接続としています

ボリューム抵抗線・摺動子清掃、ケーブル引き直し、不良ねじ打ち直し(オリジナルと同じスリ割り丸小ねじで統一)、ユニット緊締調整ほか整備済み。

サイズ:W227・H162・D80mm  ケーブル直出し1.6m


・WHD卓上スピーカー・・・・・28,000円(税込み)

2024年5月17日金曜日

筒形スピーカー

紙製の筒の左右にデフューザーを付けた風変わりな小型スピーカーです。


ドイツの製品ですが、日本で造らせて現地のブランドで売ったOEM品です。

壁掛け金具も兼ねた台座

ドライバーは8cm。デザインは1950年代的ですが、内部のユニットの造りから60年代以降の製品のようです。

2.5mmと3.5mmのプラグを備えているので、タブレットなどにもそのまま使えます。当時はポケットラジオなどをイヤホンを使わず手近に置いて鳴らすというような用途で使われていたのではないでしょうか。

小型とはいえドライバーは8cmですので、イヤホンジャックに差す使い方では当然ながら力不足を感じる鳴り方になります。アンプを介してきちんと鳴らせば相応の音は出ますが、このあたりはあまりいじくり回さず、あくまで簡便なスピーカーとして箸休め的に愉しむのが良さそうです。

サイズ:直径82mm(台座を除く)・長さ305mm  ケーブル直出し2.6m


・筒形スピーカー・・・・・4,000円(税込み)

2023年7月13日木曜日

Western Electric/BELLSYSTEM 108A

 オーディオ愛好家よりは映画愛好家の方に知っている方の多そうなスピーカーです。

ウェスタン・エレクトリック/ベルシステムの108A

映画「チャーリーズ・エンジェル」の作中で、チャーリーからの指令が来る場面でたびたび登場する卓上スピーカーです。このスピーカーはノベルティグッズとして復刻された事もありましたが、商標権の問題からかデザインは大幅に変更されていました。



ユニットは8cm。小振りながらWE納入を示すKSナンバーが振られています。

小さいながらも自然な音の広がりで室内に音楽のある心地よい空間を作ってくれる、意外な実力をそなえたスピーカーです。


経年品相応の傷みはありますが、綺麗に整備しましたので快適にお使いいただけます。

スピーカーケーブルは赤黒平行線直出し2.5m


・ウェスタンエレクトリック/ベルシステム 108Aスピーカー・・・・・22,000円(税込み)

2023年3月19日日曜日

リメイクスピーカー・NKロレンツ


当店でリメイクしたモノラルスピーカーです。

エンクロージャーは古い“農協スピーカー”のものを整備して使用しています。
農協スピーカーというのは過去にネット上で見かけた呼称で、地域の寄り合い所や公民館のようなところで使用されていたスピーカー全般を指すものと思われます。今となっては誰がどこで用いていたか忘れてしまいましたが、言い得て妙な呼び名だと思います。

農協スピーカーのエンクロージャーにはその土地の木工店や指物職人などが作ったと思しき一点ものが多く、メーカーの製品には無い意匠や造りの多様さが魅力です。
本品はシンプルな意匠ながら天地で木組みが変えてあったり、角を丸めたり格子を入れたりと丁寧な仕事ぶりのうかがえる箱です。また、天地両側の板には無垢材が使用されています。


ユニットは50年代の西ドイツ・ロレンツ製16cmを使用
磁石はMagnetfabrik Bonnのアルニコ


昔日の良質なユニットの持ち味と充分に枯れた箱の響きを活かし、生活空間に馴染むような素直でリラックスして聴ける音へと仕上げました。


サイズ:W230・H225・D130/mm、ケーブル直出し3m



・リメイクモノラルスピーカー・NKロレンツ・・・・・24,000円(税込み)

2023年1月12日木曜日

メーカー不詳・欧州製小型スピーカー

ドイツ製と思われる欧州製の小型スピーカーです。

サイズは広辞苑ほど。指2本で楽につまみ上げられる軽いスピーカーですが、軽いのも道理でこのスピーカーのエンクロージャーは


発泡スチロールで出来ています。

エンクロージャーの形はあれど、ほぼ空気

スピーカーユニットの振動板に発泡スチロールを採用した例としては、リークのサンドイッチシリーズや「ポンせんべい」と呼ばれたヤマハの変形スピーカーなどが挙げられますが、エンクロージャーの素材というのは少くとも私は知りません。

フロントマグネットの楕円ユニットを前後からバッフルとエンクロージャーで挟み込んでボルトとナットで緊締する。最少限の構成部品で不要な振動からの影響を避けた構造はスピーカーとして理に適った仕立て方かも知れませんが、こんな造りのスピーカーは初めて見ます。

バッフルの発泡スチロールはエンクロージャー側と異なっています

エンクロージャーの附帯音の無い、ユニットの持ち味を抽出したような明朗な出音。高感度ユニットとスカスカに軽いエンクロージャーの組み合わせながら低域の質感や含みのある響きも自然なバランスで聴かせてくれます。

前後カバーを除くエンクロージャーの98%が空気で出来ているという冗談のようなスピーカーですが、見た目との差に思わずにやりとしてしまう音です。

レトロポップ的なデザインも魅力。小出力の真空管アンプとも好相性です

おもちゃのように安直なスピーカーながら、オーディオ体験として本品は十二分に価値あるものと言えるでしょう。

整備済み。

サイズ:W187・H253・D107、ケーブル直出し2.2m


・メーカー不詳 小型スピーカー・・・・・15,000円(税込み) 


このスピーカーには当店のオリジナルインシュレーターよりも、ヴィンテージ・ジョインのキヨトさんが提案しているIKEAの鍋敷きの方が相性が良いです。下に敷くと音像がより明確化してグッと濃く太く鳴る印象です。
同種のシリコンゴム製の鍋敷きは、100均でも入手可能です。

2022年11月18日金曜日

WHD ラジオスピーカー

  西独WHDのラジオスピーカーです。


曲げ板加工で組まれた薄手のエンクロージャーに5インチユニットがつっぱり棒でマウントされた楽器のような見た目と造りの小ぶりなスピーカーです。

再生帯域を欲張らず鳴る領域を巧く聴かせる素直な音も楽器然としていて好感が持てます。

サイズ: W260・H155・D65(mm)、ケーブル250cm


・WHD ラジオスピーカー・・・・・19,000円(税込み)

2022年10月16日日曜日

金属製エンクロージャーのリメイクスピーカー

古い金属製エンクロージャーに西独ロレンツのユニットを組み合わせてリメイクしたモノラルスピーカーです。


軽い色味と小振りな佇まい。金属製ですが同サイズの木製エンクロージャーと比較しても特に重いということはありません。底にはコルクを張ってあります。

前面内部には厚みのある木製のサブバッフルが正面の2本のガードで前面を共締めする形で取り付けられており、不要な振動を抑えています。こうした造りを踏まえて吸音材や後板の鳴き止めにも留意し、サイズ相応のスケール感で無理なく鳴る音へ仕上げました。

音源自体の響きを抽出して鳴らす方向性の出音ですので、通常の音量だけでなく深夜などに小音量で聴く機会が多いという方へもおすすめです。


サイズ: W170・H170・D90/130 mm


・金属製エンクロージャーのリメイクスピーカー・・・・・26,000円(税込み)

2022年9月3日土曜日

西ドイツ製8インチ リメイクスピーカー

 西ドイツ製の8インチユニットと無垢材のエンクロージャーを組み合わせてモノラルスピーカーへとリメイクしました。


エンクロージャーはかなり古い物のようで、樹種は不明ながら硬く重い材が使われています。板材は天地両側と前枠いずれも無垢。片胴付大入れという継ぎ方で組んであります。箱には接着剤を流して弛み留めしてありますのでガタつきや鳴きはありません。

外観の均しや塗装はせず、ワックスのみで仕上げました。無垢の古材ですので表面の荒れや傷などありますが、歪みや割れはありません。

磁石はマグネットファブリック・ボン製

コーン紙に1箇所、突き穴補修あり

ユニットは50年代の西ドイツ製8インチを後面開放で使用。メーカー標記はありませんが、同時期のテレフンケンやグルンディヒと同様の軽く張りのあるストレートコーンで、マグネットと佇まいからも素性の良さがうかがえます。

フロントバッフルには15mm厚13層のラトビア産ホワイトバーチ材を使用。前面のネットにはイギリス製のデッドストック品を組み合わせました。

この時期のドイツユニットらしい朗々とした通りの良い音。同時期の音源と好相性で古い録音を生き生きと聴かせます。

ケーブルは直出し3.5m


・西ドイツ製8インチ リメイクスピーカー・・・・・33,000円(税込み)


2025/5追記:経年による潰れのため留めネジ受けのブッシュゴム全交換。

2022年8月6日土曜日

RCA 6インチ リメイクスピーカー

米、RCAの6インチドライバーを国産の古いエンクロージャーに組み合わせてモノラルスピーカーへとリメイクしました。

RCAのスピーカーは、日本では一部の好事家を除いて一般にあまり知られていませんが、ドライバーユニットには音のよいモデルが多く存在します。

太く安定感のある出音。RCAユニットの実力を感じさせます。

サイズ: W260・H190・D140mm、ケーブル直出し3m


・RCA 6インチ リメイクスピーカー・・・・・28,000円(税込み) 在庫:2台


リメイクにあたっては、単に古い素材同士を組み合わせたのではなく、ドライバーの音が活きるよう相性の良い部材を吟味してモノラルシステムとしてまとめています。

2021年5月16日日曜日

ソ連製フルレンジの異音修理

 スピーカーユニットの修理をしています。

ソ連製の25cmフルレンジ、4A-28。1973年製です

扱うのは今回が初めてです。

いかにもソ連らしい武骨な樹脂製(ベークライト?)のフレームに組み込まれたコーンは、裏面に奇妙なイボイボのあるザラッとした紙質。高域デフューザにはフェノリックダイヤフラムのようなダストキャップが付いています。

点検で音を出した途端に異音が。触ってみたところボイスコイルではない様子。どこかが共振してビリビリと音を出しています。


フレームを叩いて共振している所を捜します。

ひび割れを探す場合、金物や陶磁器はチン、チン、チンと叩いていって、割れている所でピチッと音が潰れますが、それと同じ理屈で、スピーカーはコン、コン、コンという音が、鳴きの出ている付近ではプゥンとかベェッという変な音に変わります。

木槌や金槌など硬いもので叩くと磁石が減磁してしまうかも知れないので、ゴムハンマーなど柔らかい物で力を加減して軽く叩きます。ゴムハンマーがないので今回はドライバーのグリップで代用。ユニットの作りや材質によっては、打音で判断しにくい場合には、フレームを押さえている指先に伝わる振動をたよりに探す方が判りやすいかも知れません。

ここかなという所が見つかったら、鳴らしながら指先で触ったり押さえたりして確認。共振している所を探し当てたら場所や素材に応じて鳴き止め処置します。

その後、低い周波数でボリュームを加減しながら短時間馴染ませ、しばらく静置してから頃合いをみて試聴します。駄目ならやり直し。

良さそうです。今回はすんなり直りました。ユニット単体でしばらく試聴

古典ユニット的な軽やかで即応性の高い鳴り方。大口径らしいスケールもあります。聴感上の高域はモソモソすることなく伸び、陰影や独特の含みのある表現。きちんとエンクロージャーに組み付けて聴かないと分かりませんが、良さそうなユニットです。

品質が粗く造りも荒っぽいので、ソ連製という事からしてもきちんと鳴らない個体も多そうですが、基本的には優れたユニットのようです。こういったところはソ連の光学機器と似通っていると思います。