スピーカーユニットの修理をしています。
ソ連製の25cmフルレンジ、4A-28。1973年製です
扱うのは今回が初めてです。
いかにもソ連らしい武骨な樹脂製(ベークライト?)のフレームに組み込まれたコーンは、裏面に奇妙なイボイボのあるザラッとした紙質。高域デフューザにはフェノリックダイヤフラムのようなダストキャップが付いています。
点検で音を出した途端に異音が。触ってみたところボイスコイルではない様子。どこかが共振してビリビリと音を出しています。
フレームを叩いて共振している所を捜します。
ひび割れを探す場合、金物や陶磁器はチン、チン、チンと叩いていって、割れている所でピチッと音が潰れますが、それと同じ理屈で、スピーカーはコン、コン、コンという音が、鳴きの出ている付近ではプゥンとかベェッという変な音に変わります。
木槌や金槌など硬いもので叩くと磁石が減磁してしまうかも知れないので、ゴムハンマーなど柔らかい物で力を加減して軽く叩きます。ゴムハンマーがないので今回はドライバーのグリップで代用。ユニットの作りや材質によっては、打音で判断しにくい場合には、フレームを押さえている指先に伝わる振動をたよりに探す方が判りやすいかも知れません。
ここかなという所が見つかったら、鳴らしながら指先で触ったり押さえたりして確認。共振している所を探し当てたら場所や素材に応じて鳴き止め処置します。
その後、低い周波数でボリュームを加減しながら短時間馴染ませ、しばらく静置してから頃合いをみて試聴します。駄目ならやり直し。
良さそうです。今回はすんなり直りました。ユニット単体でしばらく試聴
古典ユニット的な軽やかで即応性の高い鳴り方。大口径らしいスケールもあります。聴感上の高域はモソモソすることなく伸び、陰影や独特の含みのある表現。きちんとエンクロージャーに組み付けて聴かないと分かりませんが、良さそうなユニットです。
品質が粗く造りも荒っぽいので、ソ連製という事からしてもきちんと鳴らない個体も多そうですが、基本的には優れたユニットのようです。こういったところはソ連の光学機器と似通っていると思います。