同業の先達からスピーカーユニットの修理依頼。
まずはコイル擦れを起こしたシュルツのKSP-130K。
点検するとダンパーにうねりが。東独製のスピーカーユニット全般に多く見られる症状です。
ダンパーを剥がして貼り直し
音出し点検
コイルもボビンも擦れなくなって異音は消えて修理完了と思いきや、ひと晩経つとまた異音が発生。確認すると再びどこかが擦れています。
何度か調整を繰り返したものの、状況は変わらず。仕方ないのでコーンアッセンブリを降ろすことに。
外したコーンアッセンブリを見て「ああ、これはダメだ」
ダンパーに対してボビンが斜めに貼られています。
コイル擦れの痕が傾いたなりの位置についています
原因は判ったものの、ボビンを真っ直ぐに貼り直す事はできないので、傾いたなりにエッジとダンパーの張り具合を押し引きで按配して貼って調整するよりほかにありません。
おそらくは、製造時にもそのようにして調整されていたのでしょうが、経年で癖が戻ってしまったのだと思います。
この貼り方で調整しても後々ふたたびコイルが擦る可能性はありますし、そうなったら再度の修理はコーンアッセンブリーの強度的に厳しいと思います。ただ、調整しなければこのユニットは聴けるようにはなりません。
擦らない位置を探して組み付け。ダンパーの傾きをエッジの張りで矯正したので接着は難儀でしたが、無事に付きました。
ひと晩置いてから終日鳴らして様子見。裸ユニットをボリュームを開けた状態で一日中鳴らすのはなかなかの苦行。
無事にコイル擦れは解消。東側ユニットの音は素晴らしいですが、品質にはムラがあり個体差が大きいので、リメイクする際も修理する場合も、そのあたりを勘案してやる必要があります。