2021年10月15日金曜日

シュルツKSP-130Kの修理

東独のシュルツを修理しています。

ボイスコイル擦れの修理

シュルツのKSP-130Kは卓抜したスケールの音を聴かせる優れたユニットです。

このユニットの修理で最も重要なのは、とにかくゆっくりと分解作業を進めるという事です。コーンやダンパー、そしていちばんの特徴である薄いスポンジエッジを傷めないよう丁寧に少しずつ作業を進めます。決して急いではいけません。

コーンアッセンブリーを取り外したらフレームを清掃。残った接着剤やギャップ内の鉄粉などを取り除きます。
KSP-130Kの外観塗装の塗料には鉄粉のような磁性素材が添加されており、塗料はそれ自体が磁石に着きます。ユニット本体は当然磁気を帯びているのでシュルツは剥がれた自分の塗料の欠片をあちこちにくっつけています。清掃時はこうした剥離した塗料片もきちんと除去する必要があります。

腐蝕のない綺麗な個体
ギャップ幅は1.2mmほどと昔日のドイツユニットとしては広め

ここからは打って変わってスピード勝負の作業です。

ダンパーに接着剤を塗りコーンアッセンブリーをフレームへ組み付けたら引き出し線をはんだ着けしてテスト音源に繋ぎ、ボビンの芯出し。音を聴きながらダンパーの貼り位置を動かして調整。大体の位置が出たらエッジ側にも接着剤を塗りさらに微調整。
ここまでを一挙動で手早く作業します。早いほど接着剤が固まるまでの調整時間を長く確保できるからです。
スピード勝負の作業ですが、コーンアッセンブリーを組み付ける際はボビンの先端を傷めないようにギャップへ収めるなど扱いには細心の注意が必要です。

作業内容からすればダンパーとエッジの着くフレーム側に同時に接着剤を塗布して位置出しをすれば良さそうに思えますが、このユニットでそれをするとひどい事になります。


芯が出たら音源を変えて更に出音を確認して、良ければ暫く静置。


良さそうなので、もう一本に取り掛かります。