お客さまの置き土産。
「踏んづけた」と・・・
ザクセンベルクを・・・
ともかくもコイルの導通を確認。良かった、コイルは切れていない。
ザクセンベルクは好事家には音の良いことで知られるユニットです。直せるうちは良い音を聴かせて欲しいので修理しましょう。
まずはフロントのガスケットを溶剤で剥がしコーン紙を整形してから補修していきます。
錦糸線は片側の被覆が引っ張られたものの無事でした
補修用の紙で表と裏から裂け目を貼り合わせて行きます。
この紙はとても優秀で、コーン紙の補修でよく使われるティッシュペーパーや障子紙、和紙などとは比較にならないほど強く、耐久性もあります。きわめて薄く、裂けず、水溶きボンドと組み合わせて使う事で乾燥後は昔日のコーン紙と同等の固さと弾力、強度が出ます。
音出し確認。良さそうです
補修紙の薄さが伝わるでしょうか?
画像の状態くらいまで乾くと固さと弾性が大幅に増して、裂けていた箇所を指で押してもコーン紙は折れません。
単品ユニットは段ボールを当てて保管するか、せめて伏せて置きましょう。昔日のスピーカーユニットは工業製品であると同時に、往時の素晴らしい音で音楽を聴かせてくれる文化遺産でもあります。
ガスケットを貼ってできあがり
ひどい状態になっても鳴るかぎりは補修して聴きたい。ザクセンベルクはそんなユニットです。