2021年5月21日金曜日

ダンパー歪みによるコイル擦れ

 コイル擦れを起こした50年代のノイルッピンを修理しています。

コーン紙の根元のダンパーに歪みが出てしまっている事が原因のようです。コーン紙も全体的にうねって見えますので、コーン全体にもいびつな力が掛かっていそうです。

うねっている部分を押して歪みを取ると正常な出音に戻ります

ユニット単体で鳴らしながら工具で歪みの出ているダンパーの状態を確認します。ボビンが外れたり捲れたりといった修正できない類の不具合が無さそうなので、ダンパーの修正に掛かります。

ダンパーを半分剥がして、歪みの無い位置で再接着


ダンパーをフレームから剥がす際は、周辺部の織り目をできるだけ傷めないよう注意しながら剥がします。

再接着時はフレーム側へ接着剤を塗って、接着剤が少し固まるまで待って着けます。接着したらすぐにアンプにつないでテスト音源を鳴らしながら貼り位置を微調整。

ダンパー調整時には、私はピアノの高音の強いアタックとウッドベースの低音が同居している曲を掛けています。低域がゴロゴロ、ゴワゴワと鳴るのは比較的容易に判って修正も楽ですが、ピアノの高音のアタック音のようなところで出る引きつりは、判別と修正を短時間で済ませるのは困難です。高域のごく僅かな触れはボリュームを絞った際には聴感上判らないようですが、実際は聴いているうちに何となく嫌な感じがするものなので、ボリューム開放付近で問題無いところまできちんと修正した方が良いです。

修正が済んだら、音量を下げて伏せてしばらく鳴らします。接着剤がまだ固まりきっていないので本当は静置した方が良いのかも知れませんが、このあたりはユニットによって違うと思いますし、私は臨機応変にしています。

途中で音がおかしくなったら、再度修正。既に接着剤が動かないくらいに固まっていたら、溶剤で緩めて再度修正します。