2023年2月3日金曜日

続・Jensen P12Sの修理

ポールピースの偏芯が分かってしばらく頓挫していたコイル擦れのジェンセンの修理を再開。


コーン紙やボイスコイルの補修が済んだら、フレームバスケット内と磁気ギャップ部、ポールピースのゴミや鉄粉を取り除き、

エナメル線を

コーンアッセンブリーの錦糸線につないで、 

フレームの端子の引き出し孔に通し、

ダンパーの接着シロに接着剤を塗り、コーンアッセンブリーをフレームバスケットに軽く落とし込んだら、すぐにポールピース〜ボイスコイルボビン内周のギャップ部にスペーサーを咬ませ、ダンパーを接着します。
ポールピースの偏芯とコーンに出たうねりのためギャップの確保には難儀しましたが、治具のスペーサーに加えて菓子の包装フィルムから広告紙まで0.045〜0.12mmの範囲で試し、なんとか調整できました。

このユニットはフレームバスケットの背圧抜きが幅の狭いスリット状なので、ダンパー位置の微調整は、延長ノズルを付けたオイラーや注射器を使ってスリットの隙間からフレーム内に溶剤を垂らし、接着を緩めてからヘラや棒で行います。この時、接着剤とともにダンパーに含浸している樹脂も溶剤で軟化するので調整時にはダンパーの形を崩さないよう注意が必要です。

スペーサーを咬ませたまま一晩置いてダンパーの接着剤が完全に固まったらコーン外周部を仮留めして音出し。駄目なら再度ダンパーを剥がし、接着剤の除去とポールピース、ギャップ部の清掃からやり直します。


芯が出たらコーン外周部を貼って行きます。
各ガスケット部ごとに対角で互いにコーンの縁を持って引っ張り合うように張ります。これはコーンにうねりが出ているからで、うねりの応力でボビンが歪んでコイルがポールピースに擦れないようにするためです。接着剤がある程度固まるまでコーン紙を指で弾いて音を確認しながらギャップと接着部を修正し続けます。

全周貼れたらガスケットを貼る前に音出し。駄目なら・・・

問題無ければガスケットを貼って行きます。

最後に伏せて均等に圧しを掛け、一晩置いたら試聴。


問題無く鳴るのを確認したら、エナメル線を外して錦糸線を端子にはんだ付けし、最後の試聴をして出来上がりです。正面は撮り忘れました。